2008
04/28
その男・・・
釣行記 / comment : 12 / trackback : 0
昔から妙に頑固だったらしい。
幼き頃の積み木ブロックやパズルで既にその兆候が見られ始め
母親には今でも偶に「あんだだば、ちいっちぇ頃がらほんとに頑固で参ったった」と言われる。
頑固といっても色々ある。
かっこ良く解釈すると「意思が固い」「己の意思を貫き通す」「曲げない」
悪く解釈すれば「意地っ張り」「柔軟性が無い」「意固地」
母がどんな面をどんな意味で指しているのか明確では無いが、そんな性格のままその男は今年40歳を迎えた。
ちなみに男は「頑固?じゃないぞ?百歩譲っても柔軟性のある頑固だ!」と話しているらしい。
その男は今日も男鹿に居た。南東の暴風が吹き荒れるのを分かっていながら。
なにせ「頑固者」だ。
家族や友人が「今日だば風つえがらやめれぇ」「もう少し暖げぐなんねば釣れねって」「5月からだ」
そんな事を何十人に言われても男は止めない。
なにせ「頑固者」だ。頑固者の意思は岩のように固い。
その男は「つりショップ海風」という、頑固者が多く立ち寄る仲間の店へ寄ると、オキアミ6キロを抱えて今日も一目散に鵜ノ崎へ向かった。
先週のバラシが悔しかったのか?いや、そうでは無く、釣り方に納得出来なかったらしい。
ちょっと特殊というか、独特の釣り方があるのでは?と思っているみたいだ。
男は去年から渡船を使う事が多くなり、比較的楽して釣りをしている。
「楽」とは、何も体力的な事だけではなく、釣り場の難易度の問題も含んでいるらしい。
1つをトコトン納得する前に、なかなか新しい事を取り入れないのが「頑固者」の特徴でもあるが、よほど鵜ノ崎が気に入ったらしい。
しかも男は先週と同じポイントに、コンビニで偶然居合わせた同じ若者とウェーダーを履いてガバガバと荒れた海を突き進んでいった。
人も天候も海も先週と全く同じシチュエーションだ。
・・・頑固者には人生の中でデジャブーが多いと聞く(うそ)
男は釣りを始めた。
彼なりに先週の事を色々と考え、自己満足の作戦を立ててきたらしいのだが、3時間もしないうちにその想いは無残にも砕かれた。
先週より更に勢いを増した数々のエサトリ群。
小フグ・小メバル・小タナゴ・・・まるで夏の海を思わせる状況らしい。
底潮は沖へ出たがっているのは分かるが、強風による上潮がウキの動きを制する。
風は更に強まり、南東13mの強風・・・状況は更に悪化。
向かいの磯に見えた釣り師が、次々に撤収を始めた。
だが男は止める気配が全く無い。
「ふっふっふ・・・ライバルが減った」くらいにしか思っていないだろう。
だが男に「打つ手」はもう無く、ひたすら黒鯛の活性が高まるのを待つしかないようだった。
・・・頑固のくせに、意外と大したことない奴だ。
そして昼過ぎ。
“意地”だけで何とか頑張っていた男の下へ、ウェーダーを履きジャバジャバと人が向かってきた。
「ん?タコ師か?」と初めは思ったらしいが・・・
この方も聞くところによれば「完全無欠の頑固者」らしい・・・by友ちゃん
鵜ノ崎を「庭」とし、「兄」と呼ばれるこの方は、早速若者へアドバイスを始める。
男も簡単に指導を受ける。
もっと沢山の事を聞けばいいのに、男はチラ見して「兄」の釣りを盗もうとしていた。
「頑固者」のくせに、この辺は意外とセコイらしい。
程なくすると、男の状況が何となく改善されたらしい。
「棚を変えろ」と言われた意味がようやく実感できたようだ。
「しめしめ・・・こりゃ釣れるかも」
スケベ心を出し始めた男のウキがゆっくりしもる・・・アワセ!!
「おっしゃ!」ゴンゴンと黒鯛特有の頭を振る感触・・・こりゃ間違いない。
サイズは大した事ないけど。
男は確信してガッツポーズをしながら「兄!来たっす!(満面の笑み)」
兄「おぉっ!やったが!カメラカメラ・・・」
き「う・・・ん・・・あ・・・れ??あれれれ?ちっ、ほっ、細いぃぃ!!」
兄「なした??」
き「取り消し!!(笑)」
男はガッツポーズまで導入したくせに、釣れた魚は黒鯛ではなかった。
しかも、久しぶりに伸ばしたタモが全部一気に出てしまい・・・しかも固着。
とてもかっこ悪いタモ入れ。
・・・なんともバツの悪い男である。
若者も帰り、兄も店へ戻り・・・男は1人鵜島に独り。
ウェーダーを履いてトボトボ・・いや、バシャバシャ海を歩いていると、駐車スペースで夕日を見ながらを語らう若者カップルが居た。
ハァハァ言いながら腰まで海に浸かり歩く頑固者へ、カップルは「ツン」とした白い視線を投げかける。
「ふん、俺にだってそんな時代はあったさ。しかももっと綺麗なお姉ちゃんだったぞ、多分。何とでも言え」
おそらく若者達は何も言っていないし、思ってもいないし、ウェーダーオヤジなんて眼中にも無い。
思い違いも甚だしいぞ!頑固者!
「よぉ〜し、大体わかったぞ!連休も鵜ノ崎だ!」
頑固な男は気合を入れて男鹿を後にした。
・・・以上、頑固者=“きし”でした(笑)
結果は見ての通りですが、今回も得るものは多々。
おもろいですねぇ、兄の庭は。
南磯〜加茂へ向かう車から丸見えってのがまた面白い。
電話が鳴る鳴る(笑)
男鹿へ彼女とドライブへ来た後輩からも「きしさん?この風の中で何やってんの?ナマコ捕り?相変わらずだすな(笑)」と電話が来た。
3年ぶりに来た電話が鵜ノ崎だもんね(笑)
それと、僕は頑固ではない・・・と思う。女房も含め、皆に言われるけど。
釣りに関しては、良いと思えば直ぐに取り入れ少しでも自分の糧にしようと日々勉強中。
意地張っても良い事ないしね。
「行くと決めたら絶対に行く」って処は強烈に頑固かもしれないが。
当日はじゅんちゃんが良型を1尾!
さすが知り尽くしてるというか、それだけでは無いんだろうけど・・・予告どおり先越された。
くそぉ〜次は隣に入ってやる!逃げないでね(笑)
>ちょっと特殊というか、独特の釣り方があるのでは?
全然特殊ではないんですね。要は仕掛けも含めて状況にどう合わせるかって問題。
僕はまだまだ雑誌等に書かれている「一般的な仕掛け」ってのから抜け切れていない。
具体的に少しだけ言うと「ハリス2ヒロに、誘導半ヒロ」「浅場だからウキはBから重くても3B」「ガン玉はシズ打ち」
一般的だすべ?でも、当日はそれじゃ釣れないらしい。
何度も書くが、和兄はこの辺の幅がもの凄く広い。
まぁ、僕は腕も含めてまだまだ「標準磯師」なんでしょうねぇ。
おもしれぇなぁ・・・ハードルが上がれば上がるほど面白くなってくる。
さて、次は前から楽しみにしていた仲間内のミニ大会。
ちょっと沖堤に浮気してから、今春はもう少し鵜ノ崎へ通ってみよう。
仮にボーでもね・・・あそこで納得しないと気が済まない。
・・・って、やはり頑固だな。
コメント
投稿 : GEN|2008-04-28
どうも、クロダイ釣りの奥深さに逃げ出した軟弱者です(笑)
しかし・・・今日みたいな日に釣りに行くとは・・・敬意を込めて呼ばせていただきます。
「狂人」と。
自分の中では最大限の褒め言葉です。
まあ海風のお客さんの中にはそんな方々はゴロゴロ居るわけですが。
オレの友人も今日行く予定だったらしいですが、あの風を見て家でぐったりしていたそうです(笑)
次回はいい日だといいですね♪
(でも荒天でも行くんでしょうね・・・)
投稿 : なか|2008-04-28
きしさまへ
毎回楽しい(失礼m(__)m)実況中継ありがとうございます。
巷では、景気のいい話も多々聞こえてきているのに私メは、いまだ男鹿の海には出撃できず人さまのコメントを聞いては、ため息ばかりでなんと情けないことか‥
本来であれば、今頃は明日のシュミレーションを布団の中でしながらニヤニヤしているはずであったのに、残念ながら仕事で明日も釣行中止となり淋しくメール打ち。あ〜釣りにいきてー。一日ボーっとして海にいて〜。
春の山の幸は、寒風山産のたらの芽とわらびでいただいたけれどもまだ、海の幸は食していない。私も頑固者ですから、自分の立った食材でなければ納得いかない。その為にも次の休みには意地でも男鹿の庭に立ちたい。
元祖頑固者にも是非頑張って釣果を期待する。
投稿 : 海風・兄|2008-04-28
どもっ!
完全無欠、筋金入りの頑固者です(大笑)
「あの仕掛け」の意味をわかってもらえたんで次は釣れますから!
(皆様にここではちょっと説明仕切れませんが)
もちろん普通の仕掛けでも十分釣れますが、ここ2回はあまりに条件がタフ過ぎだすもんね(苦笑)
って俺も庭に2回も裏切られてる(>_<)
次こそは・・・!(焦)
投稿 : しろちぬ|2008-04-28
その男の幼少の頃は、頑固者と言うよりは自分に嘘をつけない男だった。
自分が納得するまであきらめることを止めなかった。
たとえ日が暮れようとも、
自分の思い描いたジャンプを青いソリで達成するまでは・・・マジで(笑)
俺の黄色いソリは壊れそうだった(爆)
投稿 : バカ旦那|2008-04-28
あのサイズのアイナメは一瞬「おっ クロダイだ!」って思っちゃいますモンね(笑)。
でもこの時期のアイナメはバツグンに美味しいからOKでしょ?(^^)。
鵜の崎攻略は一先ず後回しにして、「あの日」は目一杯楽しみましょ!!。
技を盗ませて頂きますから覚悟しておいてくださいな(笑)。
投稿 : mura|2008-04-28
そうです、今のアイナメは抜群に旨いですよね!
クロダイ釣れた方がそりゃうれしいけど
家に持ち帰るのはアイナメの方ですね。
それにしても・・エサトリがすでに多いのですか・・
私も数年前は鵜の崎に通いましたが幸か不幸か
エサトリに悩まされた記憶はないです。
あの浅場でエサトリに囲まれたら私の引き出しでは
足りません(笑)
投稿 : きし|2008-04-29
>GENさん
たまには「まじかよ!」ってフィールドで竿出しましょうよ
友ちゃんに誉められるかもよ(笑)
明日、行くんですけどね。
風が少々強いみたい。
まぁ、いつもに比べりゃ大した事ないでしょ(^_^)
偶にはエサ撒いて釣りする気になったら・・・
いつでも声掛けてください(笑)
投稿 : きし|2008-04-29
>なかさん
残念でしたねぇ。
お気持ちは痛いほど分かります。
自分だったら暴発寸前(^_^;
でも、まだまだ始まったばかりですしね。
なんとか耐えて下さいませ。
そのうち大ちゃんと一緒に3人でも行きたいですね。
>毎回楽しい(失礼m(__)m)
いえいえ、こちらこそ毎度スミマセン(^_^;
いつもありがとうございます。
今度は「釣れた」報告したいのですが・・・どうなる事やら。
投稿 : きし|2008-04-29
>兄
毎度ご迷惑をお掛けしまして(笑)
でも、今回も本当に糧になりました。
セオリーって・・・その人それぞれ、何通りものセオリーがあるんですね。
ほんっっと、毎度参考になりますm(__)m
もう寝てると思いますが(笑)
明日も宜しくお願いします。
殆どの方が海風は初めてですが、本当に寝られないくらい楽しみにしている筈です(^^)
投稿 : きし|2008-04-29
>しろちぬさん
・・・身内ネタだけど、バカウケ(大笑)
で、そうだったかなぁ(^^;
まぁ、鉱山博物館のブロック塀に激突したのは覚えているけど。
あれは痛かったです(笑)
いい思い出ですね。
まさか再会できるとは思ってもいませんでした。
明日は宜しくです。
投稿 : きし|2008-04-29
>若旦那さん
さて・・・あなたが本日、寝れるかどうかが一番心配です(^^;
盗めるような「技」は、全く持っていませんので、友ちゃんから盗んでね(笑)
とりあえず、ずべて順調に進んで何より。
楽しみにお待ちしております!
投稿 : きし|2008-04-29
>muraさん
えーっ、鵜の崎も行ってたのですか。
さすが、行動派ですね。
僕は書いたとおり、今年初めて行ったのですが
何しろ「小タナゴ」の多い事といったら。
戸賀や加茂がホッケもしくは無反応って事を考えると、やはり凄い場所です。
Mだからね、あんな場所に燃えるんですよ(笑)
でも、例の日はゆっくり話しながら釣りしたいですから・・・
静かな所を探して行きましょうね。
鵜の崎だと無口になる(笑)