2008
05/19

8ｍｍ・・・　 〜2008年マルキューカップ東北予選〜

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雨の女川漁港。
仲間と大笑いしながら竿を振っていた。

1ヒロ半の激浅ポイントであるが、そんな場所でも友ちゃんはやはり釣る・・・ビシッと36ｃｍ！
じゅんちゃんも小振りではあるが2尾。

「きしさぁ〜ん、居るや居るや、入ってきてるどぉ。はえぐ釣れやぁ〜（笑）」
「お〜し、まがせでけれ〜っす。今しったげでっけぇの掛けるがら（笑）」
と言った僕の竿が大きく曲る・・・とりゃ！おっおっ、でかっ！おっおっと、おぉ〜ブチッ！
またもやバラシ・・・皆が思いっきり見ている前で。

「あ〜っはっは、きしさん、まだやってら（笑）」
「んだがら（笑）まいどまいど何やってんだが。ほんとなぁ、へだくそだぁ〜」

程なくして怪しいアタリに「ビシッ！！」とあわせたら、今度はヒトデが顔面向けて飛んできた。
うわっ！あぶねぇ。

「あっはっは、きしさん何やってんなや（笑）」
「う〜ん、でもちゃんと口で食ってるすよ（笑）」
「さすがだな、あははは」

なんとも楽しい釣り。こんな釣りが１番好きだ。
推定18ｃｍの小チヌを釣ったところで再び雨が強まり・・・竿をたたむ。

「ほんじゃまた。どうもでした！」
「おぅ、大会頑張ってきてなぁ。まだバラスなよぉ〜（笑）」
「うん（笑）まぁ適当に頑張ってくるっすよ。じゅんちゃんまたね。そろそろパチ屋へ行った方が良いんでないの？（笑）」

海風へ寄り、大会用のエサを購入する。
兄からも激励を受け、気合を分けてもらう。

さてと、これで準備は整った。行ってくるか。
今年もマルキューカップ東北予選の時期がやって来た。

大会本部がある由良漁港へ着いたのは午後10時半を過ぎていた。
辺りを見回すと既に宴会が始まっており、さっそく仲間に混ぜてもらい、大ちゃん差し入れの美味しいビールをグビッと飲み干す。
ＧＦＧのメンバーさんと、いつもお世話になっている高兄さんである。
楽しい話は尽きず朝まで宴会が続きそうだったけど、日付が大会当日に変わり・・・仕事の疲れもあった事から1時頃に車で眠りに着く。

目が覚めると既に受付は始まっており、顔見知りの方々へ挨拶を済ませてからゼッケンを引く。
今回も昨年同様にエリアが３ケ所に分かれる。鈴、由良、加茂である。
まぁ完全アウェーの僕は何処でも同じ事。そりゃっ！と・・・え〜と、５２番か。
今年も由良磯。しかも昨年同様に後ろの番号。まぁ、ゆっくり準備するか。

すっかり明るくなった午前５時。いよいよ１番船が出船した。
同じ由良エリアになった高兄さん、山さんと談笑していると船が戻ってきた。

高「へぇ〜きしさん、庄内の船ってバックで漁港へ戻るんだ」
き「え？んだのがなぁ・・・俺も知らなかったっす。律儀ですね（笑）」

でもどうも様子がおかしい。
船頭さんが一言「ギアがバックしか入らねぐなった・・・代わりの船出すがら待ってれ」
高「あららら（笑）んだなが」
早速のトラブル。
船を船外機の6人乗りへ変更して2番船が出たけど、順番が最後の僕は・・・え〜っと、5番船？？
ふぅ・・・何だか既に疲れそうだ。
早く竿を出せるのが有利かどうかは分からないけど、今年もスタートは随分と遅くなりそうだ。

ようやく僕らの番になった。時計は既に6時半を過ぎていた。
地方寄りの島へ次々と選手を下ろし、最後は僕を含めて3人が残った。
地元参加の選手が「え？マジで？今年釣れてないの？」と、船頭さんとなにやら会話。
この辺では最も沖に位置する「倉泉岩」という場所へ渡礁した。
同礁の方々へ伺うと、ここは真鯛場として知られ水深も15〜20ｍあるとの事。
なので春チヌには不向きで、もう少し遅い時期になってから釣果が出る場所との事。
ちなみに今年はまだ一尾も釣れていないらしい。
まぁ、抽選だし上がってしまったのだから今からテンションを下げても仕方がない。
これから始まるのだ。

3人では僕が１番若い番号だったので、釣座の優先権がある。
潮、風を想定し船着きでやろうか悩んだけど、沖向きへ釣り座を構えた。

バッカンを釣り座へセットし、まずはコマセを際へ入れながら状況を伺う。
思ったとおり、潮は陸側から若干下り気味で島へ当り・・・ゆっくりと沖へ出ている。
船着きにしなくて良かったな。まぁ、状況が悪くても釣座的には何とか楽しめそう。

アテンダーに「グレ専科３Ｂ」をセットし、和久兄から貰った「気合針」を結ぶ。

よし！試合開始だ。

まずは足下のみにコマセを入れ、沖に出る潮へ乗せて餌が触られる棚を探る。
良い感じで流せるんだけど、やはり結構深いな・・・ちょっと時間はかかりそう。
でも・・・真鯛場？15ｍ？ドン深？なんのなんのこれしき。
僕のホームグランドは前にも書いたけど男鹿半島加茂沖磯。
ここで釣りを学び、数々の経験をした。
このエリアでは深場の難所であっても、男鹿加茂磯では竿2本以上なんて釣り場は普通にある。
中ノ島ハナレで釣りしていると思えば全然平気。
今のところのイメージも鮮明だ。

ようやく２本半でメバルが掛かった・・・う〜ん、この辺かな。
竿を出したのが既に７時。船の修理が済めば回収の時間が早まる可能性が高い。
時間は少ないけど、焦らずじっくり探ろう。ここを雑にしては駄目だ。まずは納得の一尾を釣ろう。
自分に言い聞かせる。

ウキを３Ｂから４Ｂ、更に５Ｂに変え、サルカン上へ５Ｂ、ハリスＧ５＋Ｇ６＋Ｇ６。
２本半から沈め探りへ移行・・・そしたらヒトデが掛かった。
「あららら、こりゃまた友ちゃんに笑われるな（笑）」先日の楽しい釣りを思い出す。
まぁ、それでもこの辺が底か。よし・・・まずはメバルとヒトデの間だな。
でもやはり活性は低いらしく、メバルも偶に釣れる程度。しかも魚が冷たい。
刻々と時だけが過ぎていく・・・う〜む、厳しいかなぁ。

9時半頃だったか。アイナメが続けて釣れた。潮は変わっていない。

「きしさん、アイナメが釣れた時は○○を○○○だ」

男鹿で釣友に教わった事を思い出す・・・集中。
その数投後・・・モゾッとした動きからゆっくりとウキが入る・・・もう少し・・・もう少し・・・アワセ！！
ガシッ！！！とした手応え。
おし！乗った！
グォングォンと首を振る・・・４０は超えたか・・・
ハナレの手前際がハングしていると思われたので、慎重に魚を誘導し・・・無事にネットイン。

ふぅ、今の感じは良かった。よし、次だ次！
予備バッカンヘ魚を放り込み、釣りを再開するが・・・やはり渋い。続かず・・・う〜ん。
10時半を過ぎる。あと1時間半。

ここで潮が変わる。
釣座からは“当て”が強くなるから釣り辛くなるんだけど、時間がない。贅沢は言ってられん。
変化は歓迎せねば。
さて、コマセは何処へ入っているか・・・あの辺かな。

ハナレの際へコマセが溜まっているのでは？って想像したのだが、サラシによる上潮が強く普通の仕掛けでは上手く攻めきれない。
でもおそらく底潮はあそこへ効くはずだ。いや、もう決め付けよう。
「くぅっ、上手く行かないぞ・・・あれやってみるか。」
ならばと、ハリスへ次々とガン玉を追加する・・・寒クロ並みの仕掛け。
かなり過負荷気味だが、あれこれやって何とかイメージが合致。
これも和兄から学んだ、いわゆる「男鹿の釣り」
教科書には載っていない「これでどうだ！」って感じの“男らしい”仕掛けである。
思えば仲間との楽しい笑いながらの釣りでも、この１年で引き出しは随分と増えたのかもしれない。
まぁ、昔は見事なまでにカラッポだったからねぇ・・・増えて当たり前か。

仕掛けが納得いくと、珍しく結果は直ぐに訪れた。

ハナレ際へ上手く仕掛けが入り、出切るだけ前へ出て腕を伸ばしながらライン、ロッドを操作する。
そして底から何度か誘いを掛けながら探ると・・・ガシッ！！！
穂先へダイレクトなアタリ！！うぉっしゃぁ！！！
1尾目より更に強烈にアテンダーがギリギリと絞り込まれる。
際の根が気になったので少々強引に浮かせにかかる。
ちなみにハリスは、大会前に女房から「ハリスはケチるな！」と買って貰った“東レ”の最高価格品の1.5号。
しかし相手はなかなかのファイターで、更にグングン底へ突っ込もうと暴れる・・・こりゃデカイ。
際のハングをかわし、ようやくその姿が「ギラッ」と見えた。
「よぉ〜し、あと少し。切れるなよ」
ワナワナする左手で無事にネットイン。よし！
50ｃｍは無いけれども・・・45ｃｍはゆうに超えたか。
バッカンヘ魚を放り込み、釣りを再開・・・って、指先が少々震えていた。
あらら・・・相変わらず小心だこと。

ふぅ、もう少しだ。あと1尾。深呼吸して気合を入れなおす。
足場が悪く膝と腰が痛み出すが・・・まだまだ、休むのは終ってから。
更に徹底的に同じポイントを責めるが、今度は冷たいソイが連発した。
底潮が冷えたかな・・・くそぉ。

時計が12時を指した。１番船の選手回収時間である。
「まだまだ、もう少し・・・」
あと一投を何度も繰り返していると・・・ガシッ！！おっ？・・・と思ったが、これは良型のアイナメ。
コマセが切れる。
ふぅ。今年も終ったか・・・疲れたぞ。

片付けを終え、同礁の方々と談笑する。彼らの仲間の情報だと、由良、鈴は厳しかったらしい。
でも加茂ではかなりの数が出たらしく、45ｃｍオーバーも数尾出たとか？
まぁ、５位以内にでも入れれば御の字だ。
それに久しぶりの検量だ。当初の目標は検量だったから既に大満足。
船へ乗り込み島を後にした。思い出に残る磯になりそうな「倉泉岩」
また来たいな。真鯛は本当に面白そうだ。

大会本部へ戻り、久しぶりの検量を済ませる。
嬉しいなぁ。この大会では2年連続ボーズだったからね。
鈴は全滅に近い状態。由良も僕を含めて数尾の貧果。加茂は１人で5尾以上釣り上げた方もいらっしゃったらしい。
昨年同様に全体的に厳しく、唯一加茂エリアが好調だったみたい。

さて、結果発表だ。

マル九「優勝は、合計寸88.5? 鶴岡市から出場の秋野豊さん」

うんうん、よく雑誌にも出ている地元の有名なマルキューテスターの方だ。
さすがですね。おめでとうございます・・・ん？って、まてよ。
合計88.5ｃｍ？？・・・俺なんぼだったっけ？えっと87.7？という事は・・・

マル九「第２位、合計寸87.7ｃｍ　秋田市から出場の・・・きしさん」

え？？あ、っと、俺だ。
ちょっと気が動転しながら景品を頂く。
「あっ、ありがとうございます・・・。」
右手と左手が同時に出て歩いていたかもしれない。
正直、その後の閉会式の事はあまり覚えていない・・・。

ふぅ・・・そうか、あと0.8ｃｍだったのか・・・8ｍｍ差？・・・う〜ん。
くぅ・・・8ｍｍか。

まぁ、我ながら信じられない結末。
頑張った？・・・ん・・・だなぁ、俺ってば・・・うん。

女房へ「２位だったよ」とメールを打つと、６ヵ月になった三男の笑顔の写メと
「頑張ったね、おめでとう」の文字。
何だか涙が出そうになった・・・相変わらずの泣き虫である。

去年から決勝大会は家島になったけど、広島への決勝大会へ行きたくて大会参加を始めたのが３年前。
思えば、広島の友へ会いたい気持ちだけの参加だった。

2005年。誰も知り合いがおらず、孤独感を満喫・・・小チヌ１、バラシ１。
2006年。「勝つぞぉ！」なんて、腕も無いのに調子に乗って大ボーズを食らう。自分を馬鹿者と思った。お前は誰と何を勝負してるんだ？
2007年。またまた「進歩せず」を実感してボーズ。まぁ、こんなもんだろ。来年は止めようかな・・・

その間、刻々と釣りに対する、海に対する心境が随分と変化した。

仲間からガンガン「おめでとう」メールと電話が鳴る。
良き仲間達。本当に自分は恵まれていると思う。
未だにというか、ますます釣りが好きになって行くのは、やはり素晴らしき仲間達のお陰。
冒頭に書いたように、手軽な場所で仲間とワイワイと楽しく釣るのも大好きだ。

そんな笑ってばかりの中でも学ぶ事は沢山あり、少なからずとも進歩しているのだろう。
やはり去年までの知識、腕、気持ちでは釣れなかったと思う。
自分にとってこの１年は大きかったんだな。
それを実感できるのが大会なのかな。

いずれにしても、また来年が楽しみだ。

手が届きそうで届かなかった、2008年マルキューカップ東北予選。
悔しくないといえば嘘になるけど・・・まぁ、自分なんてまだまだ行くなって事なんだろう。
また次から楽しみながら一歩一歩進もう。

沢山の応援、お祝い誠にありがとうございましたm(_ _)m
また、高兄さん、美味しい焼肉をありがとうございました。
大ちゃん、差し入れありがとうございました。
また焼きましょうね、今度はホルモンをもっとしっかり焼いて（笑）

ちょっとまだ疲れが抜けないというか、気抜けした変な気分なんだけど・・・少し休もうかな・・・なんて、出来もしないことは言わない方がいいか。

さて、次は何処へ行こうかな・・・。