2009
05/11

2009年　ホームでの至福

釣行記 / comment : 26 / trackback : 0

今年の2月以来かな？
都合がつかなかったり海が怒ってたりして、随分とご無沙汰してしまった。
ようやく我が家も落ち着き、愛しのホームグラウンド「加茂沖磯」を目指して家を出る。
とは言うものの以前みたいに2時半に出る訳でもなく、ゆっくり起きてコーヒーを飲んでから。
せっかく久しぶりに1日中釣りが出来る訳だから、その気持ちもゆっくりと味わいたい。
窓全開で朝焼けの男鹿路をゴウゴウと爆走し、外へ出して貰っているオキアミを取りに海風へ寄る。

・・・ん？またイタズラしやがって。

テル君まで書きやがったな（笑）あとで君のにも書いておくからな。

さて、行くかな。
「きしさん、おはよ」
おぉっ、びっくりした。

海風の二階寝室の窓から兄が眠そうな顔を出していた。
「うぃ〜っす。しかし・・・なんとまぁ疲れた顔して（笑）」
「んだ、あど死ぬ（笑）あぁぁぁぁ・・・疲れだ」
毎日早朝から何十人ものお客さんを乗せて沖へ出て、昼食を取る暇も惜しんでお客さんを見回り、アドバイス、場所変えをこなし、ようやく落ち着くのが夜の9時頃だとか。
彼は皆さんご存知の通りの人間。
いつもお客さん全員に黒鯛を釣って欲しいという気持ちが強すぎる男とはいえ、本当に全力で頑張っているのだろう。
「落ちついだら磯さ遊びに行ぐすべな。」
「んだすな。いいなぁ、きしさん（笑）ま、頑張ってきて」
「兄も海さ落ちねでけれすな（笑）」
「ういっす、さて今日も頑張るが・・・」

もうろうとした兄に別れを告げて加茂へ向かう。

門前、大桟橋と久しぶりの景色を堪能しながら・・・漁港へ「ガオン！」と到着。

「いやぁ、ながながこの車も壊れねな（笑）」
と、ヒロ兄登場。
「心配しねくても壊れだらウィンチ外して持ってくるすから（笑）」
「あはは。さぁて、どさいぐ？どごでもいいど」

今日は大ちゃんも加茂に来ており「古城とっておいで」と話していたのだが、既に先客が入り大ちゃんは更に南へ向かったとの事。あらら、残念。
ま、どこでもいいや。
「きのう、長岩の網さメジナ入ったったな」
「お？へば長岩（笑）」
と、ワクワクしながら島へ向かったのだが・・・

遥か沖までスッケスケ。

「うわぁぁ・・・丸見えやん！」
「あははは。ま、頑張れ。あんべわりばあどでむがえにいぐ」

と久しぶりのセリフを残して大竹丸は去って行った。

日はすっかり高くなり・・・久しぶりの壮大な景色にうっとりしながら準備を始めた。

さて、やるか・・・といっても、こりゃ厳しいだろうな。
案の定、本命の気配どころかエサトリすら居ない。
延々とオキアミが戻ってくる。

緑の山々からは鶯の声が響き渡り・・・ゆっくりと時が過ぎていく。

ウトウト・・・お、いかんいかん寝そうだ。
竿を落としそうになったので座りながら釣りをしていた。

結構早い時間帯にヒロ兄が再びやって来た。
「ダメだべ？」
「正解！（笑）」
「乗れ（笑）」

再び船へ乗り込み南を目指す。

お？ヒロナカで大ちゃん発見！
ジェスチャーで「何とだ？」
「ダメダメ（笑）」

ヒロ兄も「大輔も厳しいべな（笑）この前は結構釣れたんだけどな、まだ群れ小させもの」
「う〜ん・・・へばよ、あどは・・・オンベが鳶だな。なんとす？」
「へば鳶さいぐす。」

門前エリアに入った所の鳶という島の脇にある小磯へ下りた。鳶のハナレとでもいうのかな。

ここは自分の中で「好きな島ベストスリー」に入る。いや、景色と雰囲気が好きなだけなんだけどね。あんまり釣った事ないし。

水深は最初に上がった長岩の数倍。10ｍ〜15ｍの深場で、目視可能な根も殆どない。
チヌ釣りって考えると、ちょっとまだ厳しいかな。ま、いいか。ゆっくり雰囲気を楽しもう。

こちらも反応は悪く、戻ってくるオキアミも冷たく底ではホッケが反応を始めた。
どんどん棚を上げて反応が出る層を探す。
開始1時間も経った頃だったか、ようやく3ヒロ〜4ヒロの浅棚でタナゴが反応した。
その下の層は冷たくて釣れる気がせん。この棚で粘るか・・・んでも深すぎるんだよなぁ。
と、ブツブツ言いながら時が過ぎていく。
徐々に北西風が強まり始めた11時頃。潮が当て気味に変わった。
際を流せるのでこの潮は大歓迎。こりゃひょっとして・・・

珍しく推測が当たり、程なくしてジワジワと沈み始めたウキがゆっくりと加速を始める・・・アワセ！

おっしゃ！もらい！！

際に結構な突込みを見せたが、無事に浮いてきたのは40?のチヌ。
今年も訪れた加茂での至福の時。

ふぅ・・・やっぱホームはいいな。今年も宜しく。

まだまだ潮も変わらず雰囲気はプンプン。

だが、この辺の自分がまだまだ甘いのだろう。
1尾目を掛けた時にハリスの点検もせずにそのまま釣りを続けた。
3投後にも同サイズをせっかく掛けたのに・・・あえなく穂先が跳ね上がる。

「あっちゃぁ・・・やっちまった」
ハリスが真ん中から切れていた。恐らく傷が入っていたのだろう。
「あぁ、暴れさせちゃったしな。こりゃ厳しいかも・・・」

と思ったが、なんのなんの。流石は愛しの加茂。
潮は若干沖目へ出始めたが、タナゴが途切れ途切れに反応する。
2ヒロ程度まで浮いたタナゴの動きを見てもトリッキーに動いている。
「しめしめ、こりゃまだ居るぞ。今度は確実に・・・」
1.5号のハリスを結びなおし、再び集中して釣りを続ける。

ウキは際を通り過ぎてから方向を変え、沖へ向かって流れていく。
狙いは際。そろそろ回収だな・・・と思った瞬間、ウキがジワジワと入る。
「お？まてまて、こりゃ本命かな・・・うひひ」
ウキが見えなくなるのを待ち、一呼吸置いてから・・・とりゃっ！！

「おっしゃ！乗っ・・・・おわっ！！！」

いきなり竿をひったくられ、危うく転落しそうに。
瞬時にリールを逆転させて体性を立て直すが、竿はどんどん伸されていく。
リールの逆転では追い着かない。

「やっばぁ・・・こんな時に来ちゃったか。ははは・・・はぁ。」

何となく結末を予想して笑ってしまった。
というのは、今日もチヌタックルで、竿はアテンダーの０号、道糸1.5号、ハリス1.5号なのである。
ま、やるだけやってみっか！
無意識に手がドラグへ行き、切られす伸されず程度のテンションを掛けながら竿の角度を保つ。
でも時折猛烈なスピードで突っ走られ
「ギュィィィーーー！！」
「ギリギリギリギリ！！」
とリールがぶっ壊れそうな音を立てて逆転する。当然、そいつはどんどん沖へ離れていく事になる。
もう魚がどの辺で暴れているのかすら分からない。50ｍ以上は行っちゃっただろうなぁ・・・。

でも、諦め半分？って訳じゃないんだけど、何だか不思議と落ち着いていた。

10分も経っただろうか。ようやくそいつは猛烈な走りを止め、だいぶ動きも落ち着いてきた。
でもこちらは左手はドラグ、右手一本で長時間支えているためちょっと辛い。
そしてちょっとでも巻きにかかると、再び暴れて沖へ走ろうとする。

・・・耐えるのみ。なぁ〜んにも反撃できへんわい。

そして遠くから大竹丸がやって来るのが見えた。

「やっばぁ・・・絶対に笑われる、馬鹿にされる（笑）」

というものの、やはりリールは全く巻けない。

そして遂に大竹丸が至近距離までやって来た。
当然、ヒロ兄はニヤケ顔。

おもむろにマイクを手にして・・・

「おぉ、根掛かりはやぐ外せや（大笑）」
「魚掛かってらってば（笑）」
「なに？魚？ボラだべ（大笑）」
「違うってば！！」
そんなやり取りを交わしていたら、遂に全く魚が動かなくなってしまった。
・・・あぁ、終わったな。やっぱりダメか。

数分間、ヒロ兄も見ていたのだが・・・
「まんず頑張れやぁ（笑）」
「あ〜い」
と言い残して去って行った。

頑張れって言われてもなぁ・・・根に入られたし。後はこれしかないんだよな。
ベールを倒し、完全にテンションを抜いてやる。
これでも動かなかったら・・・切るしかないか。

ま、でも面白かったな・・・あれ？

緩めていた海面を漂っていたラインが、再び水飛沫を上げて「ガーーーン！！」と竿に来た。

「お？！こうなりゃもう出さんぞ！」

って、当たり前の事だけど・・・やり取り長すぎ（笑）
なんてったって15分も経ってるもんね、そいつは最初のパワーの面影は既に無く、ここでようやく初めて頭をこちらへ向けた。

それでもしったげ重い。とにかく重い。45Ｌのゴミ袋でも引っ張っているようだ。
「まだか・・・まだウキは見えんか」
ウキ止めはとうの昔に見えてきたけど、どうやらエライ上までずり上がったみたい。

「まだか・・・あぁ、腕がワナワナ」

本当に長いやり取りだった。

ようやく「モワッ」と青白い魚体が見え始め、ようやく水面へ顔を出した。
口から大量にオキアミを吹き出しながらまだ暴れる。

プルプルと震える片手で竿を持ち、ようやく左手でタモを持つ。

「もう少し・・・もう少し・・・おっしゃぁぁ！！！！」

20分も掛かっちゃったかな。
もっと上手な人がそれなりのタックルで望んでいれば数分で取るんだろうね。
でも・・・まぁ、最高だ！

時計は12時を過ぎていた。

少し休んでポカリを一気に飲み干し、タックルを点検すると・・・あれ？あれ？あれれれ？
ラインが延々とズタズタに。よく切れないで頑張ってくれたもんだ。
そして替えスプールに交換しようと、一旦竿をたたもうとしたら・・・
「ポキッ♪」
あららら・・・何もしていないのに穂先が真ん中から真っ二つに。

はいはい、分かりましたよ。今日はもう止めれって事だべ。

丁度、大竹丸が門前方面へお客さんを運んでいく姿が見えたので
「おぉぉぉぃ！帰るよ〜」

予定より４時間も早く磯を上がった。

船へ乗り込むと・・・

「何とだった？取ったが？ボラ（笑）」
「へっへっへぇ〜。真鯛だったよ」
「お？まじが！やったなぁ、いがったねが。」
「うん、んでも20分もかがった（笑）」
「あ、んだんだ。おめの竿何だあれ？えれぇ曲ってらな」
「うん・・・０号だもん（笑）」
「んだべ、何か変だったもんな。しかし０号？変だや、おめ（笑）」
「うん、あどやらねは・・・疲れだぁ」

2009年、春の加茂。
今年も素晴らしい贈り物をしてくれた。

※ダイワのメジャーの目盛りが紛らわしく、最初は70ｃｍと言ってしまいましたm(_ _)m

＊＊＊＊ おまけ ＊＊＊＊

真鯛って、本当に骨以外は全部美味しい。

三男君も大満足。

ごちそうさまでした。