2010
12/13
G杯グレ決勝大会 ~試合開始~
釣行記 / comment : 7 / trackback : 0
こんな時にガッツリ眠れる人は「大物」なのだろう。
僕と言えば、あっち向いたりこっち向いたりしているうちに朝を迎えてしまった。
同部屋の選手もバタバタと起き出して、次から次へと部屋を出て行く。遅れちゃいかんと思い、僕も急いで外へ出て、ガランとした駐車場を出発した。
会場の駐車場へ着くと、既に50台以上の車で混雑しており、投光器で照らされた大会本部ではエサの配布が行われようとしていた。
再確認の意味でのルール説明、点呼のあと、各選手にオキアミブロック5枚と付け餌、配合エサが配られた。これを出船前までに作り上げ、競技用のバッカン及び、予備バッカンに詰め込まなければならない。
「当然、ある程度は解凍されているだろう・・・」との読みは全く甘く、袋から取り出したアオキアミブロックは岩のようなものばかりだった。
スコップと船も何組か用意されていたが、当然使えるはずも無く・・・。
普段は"手混ぜ派"の僕は、慌てて持参していた"木製チヌヘラ"で岩に挑んだが、数回打ち付けた後、あえなく"ボキリ"と折れる。足で踏んづけても、なかなか崩れてくれない。
「ならば」と、暗闇の中走ってアチコチ探し、駐車場の端に転がっていた石を拾い、それで叩き割った。
これをバッカンに海水と共に入れ、更に手でサクサクとオキアミを細かくすり潰す。これを5枚だから、終る頃には指先の感覚が無くなっていた。
でも思ったより早く作業は終わり、気持ちを落ち着かせた後、まもなく起床時間であろう我が家へ「朝だぞ!起きてください!」メールを送った。
いよいよ出船時間である。番号の大きい選手から次々に名前を呼ばれ、船に荷物が積まれていく。
竿ケースからバッカン、クールバック、シールドバックと、ほぼ100%ガマカツ製品の中に積み込まれた僕の「マルキュー&ダイワ」製品が妙に浮いて見えた。
ま、間違えなくてかえって良いだろう。僕の気持ちが浮かなければそれでいいのだ。
無線の合図と同時に、船が一斉に漁港を出発し、船内は期待と緊張感で経験した事が無い雰囲気に包まれた。
「とにかく1回戦で1尾。落ち着いて・・・1尾釣れば楽になる」
次々と選手が呼ばれ、渡礁していく。
「次!31番と32番の選手、準備してください」
「お?確か32番は・・・」
初戦は伊豆予選を勝ち上がってきた、同部屋の水野さんだった。
凄く温厚で話しやすい方だったので、少しだけ気持ちに余裕を持って磯に上がる事が出来た。
しかし勝負は勝負。
挨拶を交わし、一斉に開催される6:50を待った。
今にも星が落ちてきそうな空も徐々に白み始め・・・正に「激闘」の1日が始まった。
ジャンケンで勝った僕は、右側の釣り座へ入る(ルール上、勝った者が右)
足場が悪く、正面から朝日を受けるため、少々釣り辛い場所。
釣り座右側から大きなサラシが周期的に払い出し、潮はゆっくりと右から左。
沖目ほど潮が早いが、センターラインを直ぐに超えてしまうので注意が必要だった。
まずは足元と、タイミングを見ながらサラシの脇へコマセを入れて様子を伺う。
足元には何だか分からんエサトリが居るものの、そんなに苦にはならない程度。沖はエサが残る。
開始から10分少々で水野さんの竿が大きく曲った・・・が、これは良型のブダイだった。
こちらも徐々に反応が出始めたが(1本弱)棚が深めな上、サラシとコマセがどうにもアワセ辛い。
足元は徐々にエサトリが増え始め、不細工なフグの仲間?(キタマクラって魚らしい)が針を食い始めた。
やはり狙いはサラシ周辺。
ジンタンを追加して、仕掛けを張り気味に、サラシの脇から沈める。
沈んだウキが僅かに加速した時にアワセを入れるも、これはすっぽ抜け。でも、待っていてもオキアミが潰されて戻ってきた。
再びジンタンを外し、今度は立位置を右側ギリギリに構え、投点も何度か変え「これはいい感じだ・・・」と思った瞬間「ズバッ」とウキが入り、同時に竿が絞り込まれた。
米水津のグレは良く引く。グレは40cm弱でも男鹿で例えるなら50弱の真鯛クラスの引きだ。
突っ込もうとする右のハエ根を慎重にかわし、タモ入れに成功。手は震えてなかった。
「よし、次だ」と思ったものの、やはり深くて渋いのか、また針外れが1度あったきりで、あっという間の50分は過ぎ去った。投数にして30投程度だろうか。
「あの針ハズレを確実に取らんと勝てんだろうな・・・」
釣り座交代。
こちらもサラシはあるものの、本来の潮がフラフラと落ち着かず掴めず。表層を群れる夥しい数のイワシ?に翻弄されながら時間だけが過ぎ去っていく。
そして終了時間がやって来た。
結果、水野さんも後半はキタマクラと安定しない潮に苦しめられ、ここは何とか1対0で勝ち上がることが出来た。
検量を終え、急いで船に戻り、揺れの中次の試合のコマセを指定バッカンに補充する。
「ふぅ、さて。32番の選手と対戦したって事は、次は・・・やはり」
「次!31番と33番の選手、準備してください」
次は幸森大輔選手である。言うまでもない、今大会の大本命だろう。一回戦もグループ最高の3キロ後半台を叩き出したらしい。
「ここだぞ、ここ・・・落ち着け。」
磯へ上がったのが8時52分。
「8時55分から試合を開始します」
「げっ、3分しかない」とアタフタしたら「いつもこうなんですよね(笑)」
初めて会話させてもらったけど、随分と温厚で優しそうな方だった。
これが「はいっ!やりましょう!早く、ジャンケンを!」なんてやられてたら、また少し違った事になるのかな。
ま、その辺が甘いっちゃ甘いんだろうけれどもね。
「よろしくお願いします!」
握手してからジャンケンをし、また勝った僕が右側の釣り座へ入った。
釣り場の雰囲気、状況は1試合目と全く同じ様な感じ。
正面は右からと左へ少々早めに流れ、右の際から結構大き目のサラシが沖へはける。
ただ、今度はエサトリの姿も何も見えず、延々と付け餌が残ってくる。
程なくして、幸森さんが大きく竿を曲げる・・・やり取りがもの凄く柔らかい。
魚は結構大きそうなんだが、あっという間に足元へ滑り込ませタモへ入れる。
しかしこれは良型のバリ。ホッ、出来れば先制したい。
左へ流れる潮が次第に早くなる。という事は、僕は流した釣りがやり辛くなる。
やはりこのサラシまわりだよな。
幸森さんが再び竿を曲げる。またもや余裕の取り込みで上げたのは30後半の真鯛。
いかんいかん、自分に集中せねば。
残り15分。ようやく3ヒロ半程度で臭いアタリが連発したが・・・乗らず。
う~ん・・・どうしよ。このまま探り続けるか仕掛けを変えるか。
思い切ってハリスを0.8号に落す。昨日は30台後半でも切れなかった。
これが結果的に?どうか分からないが、変えた3投目。
からまん棒が横に動いた瞬間にアワセ!!
「おっしゃ!!」
2、3回突っ込みを見せた後、「グーーーーン!」と横に走る。間違いなくグレだ。
丁寧に足下まで寄せ、タモへ手をやった瞬間・・・「パシーーーン!」と穂先が跳ね上がる。
「うわぁぁぁ!」大会中とはいえ、みっともない声を上げてしまった。
くっそぉ・・・。
その後、アタリらしいアタリもなく前半戦終了。釣り座交代。
「反応無かったですねぇ・・・。」と聞いたとおり、後半は延々と付けエサが帰ってくる。
思い切って大遠投したり、取れるか分からないけどハエ根の際を流したりもしたが、海からの返事は無かった。
「これは引き分けでも仕方が無いか・・・というか、願わくば引き分けに」
諦めたわけでは無いが、僕に釣れるイメージは沸かなかった。
残り数分。
普段は思ったことが無い「釣らないで下さい・・・」って想いが頭をよぎる。
が・・・幸森さんの竿が曲がった・・・やられた。
そうして無情にも終了時間を迎えた。
聞くと、足元に微かに見えた1尾を釣ったとの事。ここ1番での集中力の差なんだろう。
彼とは、ここが恐らく圧倒的に違うはず。
これで1勝1敗。ここで決勝への可能性は格段に減り、もう1敗も出来ない状況へ。
しかし試合を振り返っている暇はない。
再び船へ乗り込み、揺れの中、急いでコマセを補充する。恐らく次の試合は四国の笹岡さんだ。
気温はグングン上がり、気が付くと全身に汗をかいているのがわかった。
休む間もなく「次!31番と34番の選手、準備してください」
よし、まずは次の試合に集中しよう。
しかしこの後、自分に何が足りないのかを、嫌というほど思い知らされる事になる・・・。
コメント
投稿 : Ba2|2010-12-13
いやぁ、こりゃ本当に正月まで楽しめるかも♪(^^)
臨場感出てまっせ!
投稿 : kabe|2010-12-14
うんうん。ホンマそうやね。臨場感という名のリアリティ。
オキアミをゆっくり溶かすようにわれわれを楽しませてください。
投稿 : ヨリ|2010-12-14
いよいよ戦いスタートしましたね(@_@)読んでて手に汗…!!迫力ありますな!続きが楽しみッス(^o^)/
投稿 : きし|2010-12-14
> Ba2さん
しんたげ長ったらしい文章を、毎日読んでくれてありがとうございます(^^)
もう少し引っ張りますね。
釣りは早くも納竿しちゃったけど(笑)
投稿 : きし|2010-12-14
>kabeさん
うん、あのオキアミの感覚は今でも忘れません(^^;
んでも、流石に手で混ぜているのは僕だけでしたね(笑)
やはり紀州釣り師なんだなぁ。
そうそう、リアルな「生some」さんも最高でした(^^)ヘヘヘ。
投稿 : きし|2010-12-14
>ヨリ君
応援してくれた皆のためにも、必死で書いてます(^^;
いつも読んでくれてありがとうね。
来年からはグレも狙ってみでけれっす。
皆で盛り上げましょ。
これ読んで、少しでもハマってければm(_ _)m
投稿 : セイコー5|2013-09-21
ブーツ レディース