2011
05/25

情熱

釣行記 / comment : 8 / trackback : 0

２０１１年の５月もまもなく終わろうとしている。

毎年この時期になると思い出す事がある。
以前のこの時期は、マルキューカップチヌが男鹿半島で開催されていた。
春磯特有の「冷たい潮」「暖かい潮」の入れ替わりに悩まされ、まぁまぁ、本当に見事に釣れなかったものである。

当時はまだ大王さ・・・いや、女房の釣りに対する理解も乏しく
「あのね、聞きたいんだけど本当に釣りに行ってるの？」
「あ、いや、まぁね」
と歯切れの悪い返答を繰り返し、雨に打たれて帰りに温泉でも寄ろうものなら
「何で釣りしてるのに魚臭くなくて石鹸臭いの？！」
「あ、いや・・・魚と風呂に・・・じゃなくて」
釣れないと温泉にも入れないのである。

あの頃は殆どが単独釣行であり、確かに凹んだ時期も多かったな。それでもよく続けたものだ。
関東の友人から「情熱の維持は立派な才能」と言われたっけ。
それだけを胸に言い聞かせ・・・というか、それしかしがみつく物が無かったのかも知れない。

と、前置きが長くなったけど、今日は昔の自分を思い出させるような男と加茂へ行った。

「こまった～ず」という、怪しい（失礼・笑）磯釣りクラブ所属の寿司屋君。
彼と面識がある方ならご存知と思うが、７連続マルガリータ（付けエサを一度も触られないこと）の記録保持者である。
しかし、諦めるどころか、ますます情熱がエスカレートしているようだ。
魚もえらい男にロックオンされたもんだね。
たぶん、ド級のＭなんだろう。体もド級に大きいけど。

まだ潮によっては厳しいと思い、浅場の磯を目指そうとしたのだが、当日は妙に俊敏な動きをしていた政運丸に先を越されてしまった。フフフ、スピーディー♪なマサヤン（笑）やるなぁ。

去年の7月以来かな？焼飯島へあがる事にした。

海と森が競合するような景色・・・何度来ても、何年通っても癒されるね、加茂の景色には。

釣りの話から、ある男の話題（笑）で盛り上がり、まったりと景色を眺めながら語らう。
まだ潮は南へトロトロ。まもなく止まるであろう。今時期の本命は北へ流れる潮だ。
20分も経ったろうか。ようやく準備に取り掛かることにした。

仕掛けは自分のパイロットとも言うべき「チヌの詩３Ｂ」でスタート。
もう２年以上も使っているのだが、仕掛けが立った後のウキの挙動で大体の塩分濃度なんかが掴めるようになった。
ちなみに、船川中堤のような汽水域ではＢ＋Ｇ１、加茂磯ではＢ＋Ｂで始める。
加茂でＢ＋Ｂで沈みが早いような潮はあまり良くない。
各メーカーによって背負える残存浮力（過浮力）は微妙に違うと思うが、同じウキを徹底的に使いこなす事で分かる事も多い。

当日は仕掛けが立ったらジワジワと沈む感じだった。潮は悪くない。
開始早々こそメバルが連発で当たって来たが、その後は早くも春磯特有の「残りっぱなし」状態が続いた。
エサが取られないからドンドン底？いやいや、そんな感じではないだろう。
ヒロ兄から「前日より1度下がったどぉ」とメール。確かにそんな感じだな。
ただ、致命的な下がり方ではないし、潮も悪くない。となれば・・・試す価値はある。
潮がゆっくりと北へ変わり始める。仕掛けをガラリと交換。

ハリス1.5号を10ｍ取り、ノーシンカー。0ｃ浮力ウキ（0と00の中間）での、いわゆる「1000釣法」である。
大分で試した事はあったけど、男鹿では初めてだが・・・う～ん、なんか違う。
と言う事で、針を重めのグレ針に変更。
ちなみに、ここは水深が11ｍ強の深場である・・・が、結果は程なくして出た。

ジワジワと馴染むウキが・・・加速。

型はそうでもないが、いつもの自分らしくない結果の早さに満足。めずらしなぁ。

上潮が徐々に早まり始めたため、ウキを0に交換し、Ｇ6を針上30ｃｍに打つ。

今度は一気に穂先が「ガツン！！！」と来て・・・

これは良型。釣れた棚はまたもや2ヒロちょい。

しかしこの状態で釣れるって事は、上から下までの潮が結構複雑で厳しいのだろう。
寿司屋君・・・苦戦。ただ、背中からはメラメラと闘志は出ている。

その後はメバルがポツポツ。
沖から泡の塊が何度か押し寄せてきたが、あれが恐らく冷たい潮を運んで来るのだろう。
そうなると一気に魚の気配が消える。

潮が良い感じに早まり・・・見るからに真鯛の潮へ。
仕掛けを3Ｂへ戻す。しかし戻ってくるオキアミは朝に比べて若干冷たい。
潮は30ｍ程度北へ行くと、ゆっくり右へ曲がり、そこで弱まっているようだ。
真鯛が居るとすればそこなんだが、何故か食わん。そこで沈めたり張ったりと誘いを掛けてもダメ。
仕掛けを「チヌの詩5Ｂ」へ。
今度は仕掛けが立つのが早い分、少々手前から、張る、弱めるを繰り返して送ると・・・ガツン！！！

おぉぉぉ、やっぱ居たか。
本質は魚に聞かないと分からんけど、早めに棚を取ってから、ある程度立たせたまま潮止まりへ送り込んだ方が良いみたいだ。
不思議だね、どっちでも同じだと思うのだが。
普段なら食い渋りなんて皆無の真鯛。
食い出せば止まらない筈なのだが、やはり、冷たい潮？が影響しているのか。
また魚っけが無い時間帯が続く。

「浮いて無いかな？」と思い、仕掛けにＧ3を追加し棚を2本から1本へ。
これで30ｍ沖を沈めてみた。
まだ仕掛けが完全に立つ前「ニュォッ」という感じでウキが斜めに入る・・・アワセ！
「おぉ、おっ・・・これは」
竿は叩かれず、一気に足元へ入ってくる。魚を起こせない。
そして足元で下へ潜ろうと突っ込みを始め・・・ズリズリと・・・ラインブレイク。
根ズレだった。
いやぁ・・・何か懐かしいとも言える引き。グレだったかもね、しかも良い奴。

同じ手法で何度か試したが、反応が無かったので再び真鯛が釣れた設定へ戻すと・・・ガツン！！！

今度は50ｃｍにちょい満たない型。

でも連発は無く、ポツポツと40クラスが30分に1尾程度って感じで終了時間を迎えた。

残念ながら寿司屋君は苦戦のまま終了。やっぱ、浅場の方が掴み易かったかなぁ・・・。
ただ、めげる事は全く無く、帰りもワイワイと釣り談議。
やはり君も磯釣りに必要な要素「ドＭ」を兼ね備えた男だな。

焦らんでもいつか必ず開くさ。
何より僕は独りだったけど、君には大勢の素晴らしい仲間がいる。