2011
12/09
G杯争奪グレ決勝大会 ~再会~
釣行記 / comment : 9 / trackback : 0
12月3日の朝を迎える。
いつものように薪ストーブに火を入れ、コーヒを飲みながら朝食を作っていると三男君が起きてきた。
「パパじぃ~はい行くの?」
「そうそう。今日行くよ。4回寝たら戻って来るから」
「4回?じゃ、明日お昼寝して起きたらいるの?」
「いやいや、お昼寝は入れない。夜に4回寝たら」
「じゃぁ、いつ??」
今日まで何度も繰り返された会話。
4日も留守にする事は昨年大会以来無い事である。
彼にはまだ理解できないらしく・・・。
時間の経過と共に、徐々に高まる寂しさと愛しさ・・・これに期待感が混じり、妙な気持ちになる。
10時。そろそろ出発の時間だ。
「よし、行って来るね」
今年は「勝ってこいよぉ!!!と気合入れてあげる」なんて話していた女房の目から、すでに何かがボロボロと。
三男君も隣で鼻垂らしながら立ちすくんでいる。
「こらこら、お前ら・・・。じゃ、行くね。」
「くれぐれも気をつけて」
少々振り切るかのように家を出た。
「ふぅ・・・行って来るね。」
外は大粒の冷たい雨。
様々な想いを駆け巡らせながら空港へと急いだ。
空港へ着く。結構な雨とダシ風のなか、大荷物を持ってロビーへ走る。
昨年は羽田経由で行ったのだが、今回はもう少し早く九州へ入りたかったため、名古屋経由にしたのだ。
しかしこれが大失敗。
人生初となるプロペラ機・・・全てジェット機じゃなかったんだ。
強風波浪警報が発令されており、着陸にも少々遅れがあったらしい。
雨の滑走路を歩いて狭い機内に乗る。
「ブゥーーーン、バラバラバラ・・・・」
プロペラが頼りなさそうに回り、離陸。
いつまで経っても雲は消えず、何度も尻が宙に浮く。
「ぬぉぉ・・・頑張れ。」
真っ白な中を激しく揺れながら進む事50分。
ベルト着用ランプが消える事なく「着陸まであと15分」のアナウンス。
「くぅ・・・もう絶対に乗らん」と、何度も心に誓ったところでどうしようもない。
尻の上げ下げが何度も続いたあと、ようやく着陸。
ホッとしたのもつかの間、ある重大な事に気がつく。
なんと、福岡乗り換え便の出発時間まで5分しかない。
「ゲッ、これはまずいのでは・・・」
客室乗務員が慌ただしく僕の所へ来て
「きしさん、係員が誘導しますので申し訳ないですが走って下さい」
他の乗客を立たせず、1番でプロペラ機から降り「こちらです!急いで下さい!」とのお姉さんの後を必死に走ること数分。
このお姉さんの足がもの凄く速い。
「もっと急いで下さい!」
「急いでるってば。ハァハァ、くそぉ何でこんな目に」
普段は使用しない関係者用の通用口を何箇所か潜り抜け、離陸直前の福岡便に乗り込んだ。
5分以上も全力で走っただろうか。せっかくセットした頭も既にぐしゃぐしゃ。くそぉ、男前が台無しだ。
「ハァ、ハァ・・・」
機内サービスのお茶をおかわりし、呼吸が落ち着く頃には着陸態勢に。
予定では様々な想いを頭に描きながら、カッコ良く「我!九州へ戻ってきたぞ!」だったのだが・・・。
ヘロヘロ状態で福岡空港に降り立つ。
重い荷物を背負い、去年も利用したレンタカー屋さんへ行き、その足で宅配便の荷物を取りに行く。
昨年はホテルに一泊したのだが、時間も少なくあまり意味がないと思い、今年はそのまま米水津へ向かった。
何となく見覚えがある景色・・・ようやく期待感が高まって来た。
佐伯インターを降り、市内を走る。
ここまで来ると完全に道を覚えており、不思議な懐かしさに包まれながら漁港へ到着した。
満天の星空を見ながら仮眠する。
船頭さんの電話で目覚める。
「おぉ、きしさん。無事に来たかい?」
「おはようございます。近くで寝てたので今行きます」
今回もお世話になるのは功明丸。
見た目は怖い感じのおじさんだが、予選を通過した事を報告したら本当に喜んでくれた。
渡船場へ行き、1年振りの再会を果たす。何か既に・・・感無量である。
何名かの方々と船に乗り込むと「きしさん、こっちへ入って」と操艦室へ案内され、世間話やら最近の状況やらをワイワイと話してくれた。
「よぉし!きしさん、ここへ行ってみようか」
風裏になる地磯へ下りた。
夜明けは秋田よりも随分と遅い7時前。
足場の良い所へ横になり、星空を眺める・・・ふぅ、また来れたんだなぁ。
空が白み始め、遠くの空がオレンジ色に染まり始めた・・・ジィーンと感動。
「よし、やるか。今回もよろしくお願いします!」
米水津の海に挨拶をし、釣りを始める。
潮は殆ど行っておらず、コマセ周りには70cmもあろう巨大な白い平たい魚が数尾ゆったりと群がる。
後で分かったのだが、ウスバハギとの事。
際には結構な数のキタマクラもおり、程なくするとアジの集団も入って来たが、男鹿礒の1/5程度の数。
際に数杯、沖に2杯程度のコマセを入れ、仕掛けを入れるタイミングを3秒・・・5秒とずらして探っていると、ウキがモゾモゾ・・・スゥッ。
半信半疑で軽く合わせると、久しぶりに味わう男鹿では味わえない猛烈な引き込み。
こりゃたまらん・・・
幸先良く、40オーバーのグレが答えてくれた。
ただ、何となくではあるが、どうも昨年と少しだけ状況が違う。
まぁ、エリアによっても違うだろうし、恐らく昨年と水温も少し違うのだろう。
キタマクラも昨年より多く感じ、名前も知らないカラフルな魚がウヨウヨと来たと思えば、直ぐに消えたり。
徐々に磯と平行に流れる潮が速くなる。
思い出したというか忘れていたのだが、この手の流れに昨年は少し手間取った。
男鹿でこういう釣り座は少ない。
自分の引き出しでコマセと付け餌を合わせようとすると、流し過ぎてセンターラインを越えてしまう。
少しでも沖向きへ流れるのであれば難しくないのだが・・・。
どうにも「これだ!」というイメージが湧かなかった。
それでもポツポツと拾えたが、今思えば磯替わりせずにここで頑張れば良かったのかな。
9時。功明丸が迎えに来てくれて、磯替えをする事にした。
次に入った場所は、根に囲まれ水深もさほど深くない独立磯。
ここは男鹿と変わらない攻め方で大丈夫だろう。
根拠はないが、そう感じた。
引き出しをあれこれ出し、通用するもの、ダメなものを確認。
ハリスも1.0号~1.75号まで試す。
40cmクラスを20尾程度釣り上げ、やり取りにも慣れてきた。
時折、こんなグロな魚も掛かり・・・引きは猛烈。
お馴染みのアイゴもポツポツと混ざる。
痛めている肩が少し痺れ始めてきたため、磯に寝ころび・・・贅沢な昼寝をする。
明日もこんな感じだといいな・・・ウトウト。
少し寒さを感じて起きると、もう時計は3時半を回っていた。
慌てて片付け、4時丁度に迎えにきた功明丸へ乗り込む。
「どやった?」
「うん、20尾チョイ」
「おぉぉ、そりゃ釣れたのぅ。明日も頑張りぃや」
発会式は6時30分から。
少々バタバタしながら船宿の奥様へ挨拶を済ませ、ホテルへ向かう。
部屋は5人部屋で、同じ東北代表の庄司さん、広島の岡村さん、原田さんと、みな感じの良い人ばかりで、早速プシュプシュと缶ビールを飲み干す。
プロペラ機を除くと、ここまでは全て順調。
疲れも手伝って、少々フワフワとした安堵感に包まれつつあったが、第一関門はこれからである。
「そろそろ行きますか」と6時過ぎに会場へ向かうと、既に全ての選手が着席しており、急いで自分の席を探す。
「えっと・・・あったあった。・・・ゲッ!?」
1番前の円卓だったのだが、顔を上げて驚く。
左から猪熊さん、片伯部さん、笹岡さん、そして幸森大輔さん、昨年覇者の松田さん、北村さん・・・。
そう、シード選手及び、がまがつ推薦選手のテーブルの空きに、僕の席があるのである。
昨年なら胃が喉から出るほど緊張したのだろうが、昨年も対戦した幸森さん、笹岡さんが僕の事を覚えていてくれたこともあり、すんなりと場に溶け込む事が出来た。
そして片伯部さん。初めてお話させてもらったのだが、何とも紳士的で優しくて・・・ホッとする。
副社長、審査委員長などの挨拶を終え・・・そして運命の抽選が始まった。
まずはシード選手及び、推薦選手が次々とクジを引き、同時に会場からどよめきが起こる。
8組。いきなり笹岡選手と幸森選手の対戦が決まる。
「う~ん・・・あの組に入ったら昨年と同じだな。どちらでも構わないが、何か引きそう・・・」
普段の生活では決して味わえない、複雑な緊張感と期待感。
挨拶を終え、僕の番がやって来た。
最初に手に触れたクジを箱から引き抜く・・・15番。
「ふぅ、幸森さんの組は外れたか・・・。」
複雑な気持ちだったが、ホッとした気持ちが大きかったかも。
常に彼を目標に、彼を1日たりとも忘れずに頑張って来たといっても過言では無い。
昨年も100分で7キロ後半の釣果を叩き出す、あの爆発力。
感動さえ覚えたもんだ。目標というか、正直、彼に対しては憧れに似た気持ちもある。
「ふぅ・・・よし、3組か。えっと、3組は・・・どちらさま・・・ゲッ!??かっ、かた・・・」
一瞬、目を疑ったが、しかし・・・もの凄い組に入ったな。
懇意のメーカー問わず、グレ師なら知らない人は100%居ないだろう。
あの片伯部光広選手である。
そして、同組の1番下段には、昨年大会で幸森さんを破り、29回大会の覇者である、松田鐘樹選手。
同部屋でもあり、チヌ、グレ共に結果を出し続けている広島の岡村さんも同組だった。
五島予選を1位で通過した選手の名前も・・・。
そう来たか。よし・・・。
緊張しても慌てても仕方がない。もう腹を据える。
それより・・・えっと・・・あ、居た!
昨年、男鹿予選を共に勝ち抜け、今年は最後の最後に伊豆予選を勝ち上がり、もうすっかり僕の中では「心の兄貴分」となっている、千葉の千田さんを発見。
ようやく対面できたのに、何か変に込み上げるものが邪魔をし・・・何故か照れてる自分。
ここへ来るために、お互いに本当に頑張ったもんね、千田さん。
もう少しお話ししたかったが、他の方々への挨拶などを済ませていたらお開きの時間。
「きしさん、すごいとこ入ったね(笑)でも、大丈夫、お互いに頑張ろうね」
千田さんと別れ、部屋に戻る。
・・・ふぅ。
秋田を出発してから既に36時間が過ぎた。
あいつらは寝たかな。
さて、明日はどんな結末が待っているのか・・・。
コメント
投稿 : 舘岡|2011-12-09
お疲れさまでした!カタカベが一緒だったんですね。でも二勝してすごいですよさすがです。ふたまわり位大きくなってきましたねきっと。来年は是非一緒にいきたいですね。
今度結果報告方一杯やりましょう。
080-1833-8914です~いつでも連絡ください!
とりあえず、お疲れさまでした!!おめでと~
PS:クラブ員募集中です、一緒にトーナメントを楽しみながら、遠征、男鹿磯を楽しみませんか!! チーム釣技道代表 舘岡まで!!上記の電話番号へ。キシさんのブログで宣伝ゆるしてね!
投稿 : なか|2011-12-10
おかえりなさい。
すっすっすごかね~、もう技術、知名度共に全国区ですね。
交友関係も競技者も我々にしたら、映像の世界の方々ばかり…。
後ちょっとのところですか、上る先は見えましたね。私には、到底みえないものでしょうね。後でちょっとでいいので教えてください。
日曜日も大会に出れなくなりました。今年は、もう納竿ですかな、残念。
投稿 : Ba2|2011-12-10
空港で数分走った位で息が切れたら
話にならんぜよ(爆)
次が楽しみ~(^^)
投稿 : some|2011-12-12
いや、ホラ、ba2ちゃん、寝てないのよ、前日。(笑)
投稿 : きし|2011-12-12
>舘岡さん
ご無沙汰です。
そう、あの片伯部さんと当たって来ました。
技も人も、とても大きくて凄か人です。
詳しくは第二段で。もうちょいと待って下さいね(笑)
投稿 : きし|2011-12-12
>なかさん
ただいまです。
夢が満載ですよね、全国大会は。
今回も「まだまだ日本は広いなぁ」と思えた大会でした。
もう三週間ありますよ。
なかさんなりの、夢を追ってくださいませ(^^)
投稿 : きし|2011-12-12
>Ba2さん&someさん
そうそう、前日にガマ磯を・・・ってウソです(笑)
寝てたらもう2分は走れたかな(^^)
Ba2さんなら空港のオネーチャンを追い越してしまうんだろうなぁ。
「お客さん、もう少しゆっくり!」って(笑)
ゆるりと更新しますんでm(__)m
投稿 : よごでのとごや|2011-12-13
大会お疲れ様でした。
昨日はイロイロなお話聞かせて頂きありがとうございました。
大会期間中も大変なんですね。
もっといろんな事を聞いてみたかったんですが、
私レベルでは聞きたい事の引き出しがありませんでした。
投稿 : きし|2011-12-14
>とごやさん
こちらこそ、どもでしたm(__)m
教えれるというか、積み重ねた経験は伝えられますんで。
何でも遠慮せずに話してけれっす(^^)
大仙にも仕事で行きますんで、今度散髪に行こうかな(笑)
なかなか休みが合わないと思いますが、またイベント等で宜しくお願いします。
ありがとうございました。
で、第二段は・・・まだ執筆中です(苦笑)