2015
02/28
南紀行 ~大自然に包まれて~
釣行記 / comment : 0 / trackback : 0
地元の男鹿では冬でも4時前には起きねばならないが、なにせ渡船場まで10分程度である。普段でも5時前には起きるため、余裕で布団から元気に這い出て、ストーブへ火を灯す。
「おぉ・・・腰の状態が全然違う。ホレホレホレ、こんなに回るぞ♪」
「単にストレスが溜まっていたのかな?」
ブツブツ言いながら腰を回していたら、そめさんが起きてきた。
お互いに忘れ物が多いタイプのため、2人で確かめ合うように
「ブーツは?・・・え~と・・・あった」
「タックルは?」
「リール・・・竿ケース・・・よし!」
清丸渡船へ向けて出発する。出船は6時過ぎとのこと。
混雑を予想して5時過ぎに家を出たのだが、それでも早すぎたようだ。駐車場には10台ほどの車が待機していた。
磯は何処でも良かったのだが、そめさんの気遣いで、前日に釣果があった「一の島」を船頭さんへ伝えてくれた。
程なくして船のエンジンが掛かり、係留ロープが解かれ、ゆっくりと港を出る。
海へ出ると、男鹿とはまた違う"空気の味"に気が付く。
空には今にもこぼれ落ちてきそうな壮大な星空。
島へ上がると、程なくして沖の空が朱く染まり始めた。
日本海では見ることが出来ない光景。
「ご来光ですねぇ」
「あ、そうだ。今年は初詣もしとらんかった」
2人で夕日のような朝日に手を合わせ、お互いに好き勝手なお願いごとを祈った。
僕が何を祈ったかは内緒である。ちなみに釣りの事ではない(笑)
明るくなるまで、岩に腰かけてのんびりと語り合う。
当然ではあるが、お互いに全く違う地方で生まれ育ち、やんちゃな少年期を経て都会へ旅立ち・・・そして結婚して地元へ戻り。
お互いに出会う筈がない人生なのだが、ふとした小さいきっかけで出会うことになる。
これが釣りの世界の不思議でもあり魅力なのでもある。
20分も話していたろうか。すっかり夜も明け、目の前には壮大な景色が広がり・・・僅かではあるが潮も動いているようだ。
既に頭の中では「計算」が始まっている。脳の「自動可動」ってやつである。
仕事だろうが、海を見ると勝手に自動稼働する我が脳。
川を見ていても自動稼働する場合もある。
釣りに飢えた時には風呂の中で自動稼働する場合もある・・・こうなると貴方も相当のトーナメンターだ。
・・・元へ。
慣れた配合と、タックルはいつもの「男鹿グレ」仕様。
良型の尾長が混じると聞いていたが、ハリスもいつもの「東レトヨフロンEX1.5号」道糸も「東レ トーナメンターSE1.5号」である。
僕の場合、大型を釣るとかってイヤラシク号数を太くしたりするとロクなことがないので、いつもの仕様である。
切られた時は、こちら側に何らかの要因(不備)があるってこと。
「捕る」観点からすれば、大型魚に対してそれなりの太仕掛けが有効であることは間違いないが、例えば竿の角度や誘導の仕方が多少雑になっても捕れてしまう。
それでも切られたりしちゃうと、何故に切れたのか何が不味いのかが分からないのだ。
さて、始めるか。よろしくお願いします。
前日までの情報で「棚がシコタマ深い」と聞いていたが、特に鉛を打って沈める様な潮には見えず。
1投目は試しに針のチモトにG6を打ったが、入り方に違和感を感じたため直ぐに外した。やはりそんな潮ではない。
しかも、そんなに仕掛けが落ちない段階(3ヒロ半程度)で何らかの魚が触った。
思ったより浅い棚で食ってくるか。
4ヒロから沈めたウキに微妙な変化・・・アワセ!
大きくはないだろうが、久しぶりに味わうグレの引き。
30cmは無いかな。
「そめさん、持って帰るの30cm以上でしたっけ?」
「えぇ、そうです。」
リリースし、針を結び直しながら刻々と変化していく潮を見ながら「我が脳みそ」がフル回転。
次の1投までの僅かな時間、頭に描く様々なビジョンとプロセス。
もちろん魚とのやり取りも楽しいが、この脳に汗をかかせる限られた僅かな時間がたまらなく楽しい。
ラインの角度、コマセと針の置き場など、あれこれ変えた数投後、今度は「ズバッ!!!」とウキが消える。
あぁぁ、楽し。幸せ。
その後もポツポツと拾う。
エサが触られたり食ってくる棚は4.5ヒロ付近。
事前情報より浅いのだが、恐らくはこの潮が早まれば状況は変わるだろう。
これが上りなのか下りなのか良く分からないが、釣り座からはっきりと左から右へ流れるようになると、反応が消えた。
10時。弁当船がやって来た。
男鹿では無いシステムでもあり、どこの地区でも不味いと思った事がない。
これもとても楽しみにしていたのである。
しかし、船頭さんが何やら叫んでいる。しかも、何だか怒り気味。
「おぅ!!!〇×▲▲!!!!」
「は?なんでしょうか?」
マイクを手に取り・・・
「おぅ、そっちで釣るんじゃねぇ!もっと右だ右!!左に根があるだろ!!切られるだろうが!!!」
「あぁぁ、すみません」とバッカンを持って移動する。
「おう、そうじゃ、そこじゃ!!そこから流せぇぇ!!!」
「はいはい、分かりました」
「われ何しに来とんじゃ!!切られに来とんのか!!こんボゲェ!どあほぅが!!!」・・・とは言わなかったが(笑)そんな感じの勢いである。
男鹿でいえば、ヒロ兄と江畑のトウを足して割った感じの船頭さん。
僕的にはこうやって怒鳴ってくれる船頭さんの方が大好きなのだ。
要は単純なことで、俺らに沢山釣って楽しんで欲しいんだよね。
弁当を2つ渡してもらい、船が島を徐々に離れていく。
「さて・・・もう見えんだろう」
そそくさと、元の位置へ戻る(笑)
確かに、秋であれば少々早くなったあの潮に乗せて流してやると食うだろうし、そうであれば船頭さんの言う位置の方がやり易いし根も気にならない。
でも今日は絶対に食わんと思う。
足元の狙いの弛み潮へ仕掛けを入れ、ライン角度を気にしながら棚を維持し・・・沖の早い潮の手前で深く入れる・・・完全にイメージ通り・・・「バラバラバラッ!!!!」とラインが指を弾く。
船頭さんには悪いが「ムフッ♪やはりこっちでしょ」
さて、当分潮はこのままだろうし、そめさん、弁当食べましょ。
ああぁぁ、旨い。南紀の米がこんなに旨いとは思わんかった。
もう胃も心も脳も体も、幸せで大満足である。
あぁぁぁ、楽しいなぁ。
早春を思わせるような柔らかい日差しと壮大な景色。
そして隣には、おそらく一生の付き合いになるだろう大切な人生の兄貴分。
同じ時期に出会った仲間からも頻繁にメールが届く。
これ以上の至福はもうないでしょ。
もうこのまま夕方までのんびりと語り合っても良かったのだが、もう少し南紀の海を楽しもうか。
長い休憩後も、基本的に状況は変わってはいないが、この泡の動きや・・・そして船着きの足元の潮が、ん?な感じ。
「ん?」が的中し、35㎝を切るサイズのグレが釣れた。
こうして見た目は変わらないものの、小さな変化にビジョンを合わせると結果が付いてくる。
しかし、ここから完全に「グレだろうに」って釣れ方なのに・・・
サンノジ(ニサダイ)
バリ(アイゴ)
45cmは無いだろうが、これは強烈な引きであった。
「う~ん・・・何か少しだけ違うのか?でも、バリ食う前に何かが触った気がするよなぁ」
棚を矢引きチョイ詰める。
その次の1投。
「バチバチバチッ!!!!」と心地良く指が弾かれた。
「グゥゥ~ン」と左へ走る。今度は間違いなくグレの引き。しかもこれは良型か・・・。
左にあるハングした根に突っ込もうとするが、リールを思いっきり巻きながら竿を左へ倒し、グレの進行方向へテンションを掛けると、グレは右へ。
「ホッ、危機回避。これで根に突っ込まれちゃ船頭さんに怒られる」
何度か左右へ突っ込むが、やり取りを楽しみながら上がって来たのは・・・
う~ん・・・ナイスバディじゃ。
「きしさぁ~ん、南紀のグレって簡単だと思ってるでしょ?(笑)」
「いやいや、難しいですよ」
「こんなん簡単に釣れんのに、なんで釣れないのと思ってるでしょ?(笑)」
「そんなことありまへんってば!(笑)」
簡単とか難しいとかという表現は当てはまらないというか、上手く言えないけど「子供の頃の釣り」に心境が似ていたと思う。
今でも忘れない、あの心が躍るワクワク感。
「どうやって釣ってやろう」
「何で?何が違うんだろう・・・」
「何かこの辺が怪しい・・・」
そんな素直な気持ちで展開ができた今日の釣り。
普段、少なからずとも地元では様々な"シガラミ"もあるしね。
とにかく1秒1秒が、最高に楽しかった事だけは間違いない。
港へ戻ると船頭さんが・・・
「おぅ、どやった?!」
「おかげ様でたくさん釣れました」
「うむ。そうだろ?やはり左だったろ?あんちゃんが立ってた場所はダメじゃ!」
「はい(笑)ありがとうございました」
「おぅ、明日も来るんだろ?良かったなぁ」
ニヤッと笑いながら去っていく船頭さん。やはり気持ちの良い方だ。
「さて、きしさん、駅に迎えに行こうか」
「そうですね、もう着いたかな」
今日はもう1つ大きな楽しみが待っているのである。
紀伊勝浦駅で待つこと数分。
「スーパーくろしお」が構内へ滑り込んでくる。
「やぁ、きしさん」
「優さん、元気そうで。白髪増えた?腹出たねぇ(笑)」
「そらお互いさまや!(笑)」
ハグしたかった気分ではあったが、がっちりと握手を交わす。
優さん、何年ぶりかなぁ。
少しだけ涙腺が緩んだが、またネタにされるので(笑)我慢して車に乗り込んで温泉へ。
個々に会うことはあれど、この3人で会うのは初めての事。
恐らく3人とも体は疲れているのだろうが・・・
話したかったこと
聞きたかったこと
これからのこと
こどものこと
釣りの話も少ししたかな。
またしても12時を過ぎたが寝ない訳にもいかないので、しかたがなく布団に入る。
もっともっと話したいことがあるけど、明日、磯の上で話そうか。
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